2022/11/19 15:45


人生に寄り添う「純米燗文化」とは・・??


「純米酒を燗で呑む文化」すなわち「純米燗文化」は・・

「人生に寄り添い、心に安らぎをもたらす」と私は考えています。

そして「ワイン文化」との相違を浮かび上がらせるとも考えています。  

味覚の「旨味」や「甘味」は、40~50度の温度帯で、一番感じられます。

だから「純米酒」の甘味・旨味が一番感じられるのは燗です。

温かいと旨いが、冷めると辛いと感じる「味噌汁」と同じです。

日本酒の純米燗は、ある意味、日本食に寄り添う「味噌汁」のような位置づけなのかもしれません。

一方、赤ワインは「常温近辺」、白ワインは「やや冷やした温度帯」においてそのポテンシャルを最大限に発揮しますが

日本酒の温度帯における許容範囲の広さ(冷酒から燗酒まで)と比較すると決定的に違います。

寒いときに体を温めることを目的として、香辛料を入れた「グリューワイン」などを燗にして呑むこともあるのですが、寒いから仕方なく呑むのであって、美味しいからという理由で、積極的に温めると訳ではありません。

また酒質に関して「ワインは複雑」、「日本酒は単純」と評されることが多いですが、果たしてそうでしょうか?

「純米燗」の酸の複雑さ、旨味の奥深さからくる「滋味深さ」こそ日本酒が誇れる酒質であり、まさに「人生に寄り添い安らぎを与える酒」と言えないでしょか?

あるお酒を「どれよりも美味しい」と言う弟さんのため 当店でそれをお買い求めになっていたお姉さん。

お姉さんにしてみれば 余命もそんなに残っていない弟の唯一の愉しみのお酒が 弟の心を安らげてくれるのであれば 最期まで呑ませてあげたい、

とのお考えだったと思います。

このお客様が来店され・・

「もう弟にお酒を届けることができなくなったんよ。 先日急に亡くなってしもうた」

 と涙ながらに語られました。

このようにお客さまの人生の一部として 最期までお客様に寄り添っている日本酒ですが・・

余命幾許もないお客さまに、致酔飲料であり病人の体には決して良くないであろう酒というものを販売することに対しては 矛盾を感じることも当然あります。

このようなお客様方に対して、どのように向かい合っていくか・・

幾度となく私は自問自答してきました。

しかし間違いなく言えることは

「日本酒の純米燗文化とは、そっと人生に寄り添い、心に安らぎを与えてくれる日本の文化である」

ということです。

だからこそ酒屋は 「純米燗文化」を正しく普及させ 「日本酒」を通して「お客さまの人生」を和やかに安らぎを与えるべく 邁進したいと考えています。


そんな純米燗文化の滋味深さを持つ日本酒を紹介します。


「大正の鶴 R IS ING雄町純米2018BY」


黒糖の様な熟成香はわずかにある。キリッと引き締まった強さを感じるのが大正の鶴の酒質の特徴だが、これはアタックで赤磐雄町米の柔らかく優しい旨味が前面に出て、穏やかな印象を受ける。だが後半に酸もしっかり立ってスッキリと引き締まる。

燗につけると、旨味と酸のバランスが俄然良くなり、上品で優しく、滋味深い。


https://donsayo.buyshop.jp/items/45574193


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