2024/02/15 14:54



琥珀色の熟成古酒
「武蔵の里 純米吟醸大古酒 東郷1994BY(H6BY)」

今日は暖かい日です。
夕方からは雨かな?
寒さが和らぐと
「ホッ」とします。

そして、こんな大古酒(28年ほど熟成)の燗酒も
「ホッ!」と落ち着きますよ。

「武蔵の里 純米吟醸大古酒 東郷1994BY(H6BY)」
杏子などの果実が熟して凝縮したような圧倒的旨味!)
ナッツ、黒糖、栃餅の様な熟成香が薫る。色合いはウイスキーより濃い琥珀色。アタックで鮮烈な甘味を感じ、のちに一気に旨味が弾ける。同時に杏子や洋ナシ、オレンジが入り混じる酸が立ち上がり、存在感を増していき爽快にキレる。原酒であるが故か、凝縮した旨味と酸の輪郭が際立ち鮮明。30年の月日を纏いインパクトある酒質に仕上がっている。
龍が、静かな湖面から突然に現れ、猛烈なスピードで駆け上り、空へと消えていくイメージ。
燗につけると、旨味が柔らかさを増しながら膨らみ、酸とのバランスが俄然良くなり癒される酒質に変貌。情愛の深い優しい聖母といった趣き。時の移ろいの風情を感じながら、安心感に包まれ、いつのまにやらスルスルと盃を進めてしまう。
「冷や(常温)」と「燗」で印象が一変するのが、この酒のポテンシャルの奥深さを物語る。
まだ余韻に少し渋味を感じる部分があるので、真の桃源郷まで、もう少し時間が必要か!


*「山吹色の純米酒が美味しそう・・って変??」

やっぱ「山吹色の純米酒」を燗につけると、味わいに奥行きがあり美味しいですよね。
また「妙なことをいう酒屋だな」と言われるかもしれませんが、これ大事です。
確かに炭でろ過して透明にした清酒がほとんどでして、これらのお酒が劣化すると黄色く変色してくるのも皆さんご存知だと思います。
ですが、本来、日本酒というものは山吹色なのです。なのに見た目が悪いから炭でろ過して透明にします。
そしてもう一つの要因は炭でろ過することにより雑味をとり除くためです。もちろん雑味とともに日本酒の肝ともいうべきお米の旨味成分も取り除かれます。つまり搾った酒の味に自信がないので、炭を使いさし障りのない味の酒にしようとしている行為なのです。こんなのが美味しいわけがないのです。
一方、醪を完全発酵させ(強健な酵母を育てると、醪を搾る直前まで死滅せずに「米」を「でんぷん」から「糖」へそして「アルコール」に変化させ続けるので、醪の糖分がどんどん減少し、どんどん辛口になっていきます。その甘辛の指標である日本酒度が+10以上の超辛口になることもざらで、日本酒度の+表示の数字が高い純米酒ほど強健な酵母だったとも考えられます。ただし醸造用アルコールを添加したお酒は別ですよ。アルコール添加するほどいくらでも辛口にできるのですから。)
杜氏さんが自信をもって搾った純米酒なら、無ろ過にするか、軽くフィルターろ過するだけで、炭をかけて肝心の日本酒の旨味や個性を取り除くような野暮なことはしないのです。
また、山吹色は熟成度合のパラメータにもなりますもんね。
だから私は、透明な日本酒を見ると、すごく不安になります。「このお酒って絶対美味しそうには見えないだよなぁ。」という逆の観念に支配されてしまうのです。そういう意味で、「山吹色」の純米酒を選んでみてください。でも日本酒の瓶の多くは透明ではないので、これも見た目では確かめられませんので、店主に聞きましょう。

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